日本歯周病学会会誌
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初診時質問調査表に基づく歯周炎患者の検討
-10年間の推移-
廣木 祐子富井 信之大森 みさき加藤 まり深井 浩一長谷川 明
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2001 年 43 巻 3 号 p. 295-307

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抄録
本研究の目的は, 歯周炎患者の初診来院時の進行度や口腔清掃状態と, 質問調査表に対する患者の回答状況を調査し, 10年, 5年前に行った同様の調査と比較検討することである。そして, 対象患者のその後の治療経過もあわせて調査し, 口腔清掃状態改善度, 治療効果を確認するとともに, 質問調査表がその後の治療に有意義な情報となるか検討した。
その結果, 過去の調査と比較し, 初診患者年齢分布の高齢化を認め, さらに重度歯周炎患者の比率増加傾向も認めた。またブラッシンク指導やスケーリングを受けた経験のある患者数は過去最高であった。初診後約2年経過時の追跡調査の結果, メインテナンスを含む治療継続患者は約4割であった。それら患者のO'LearyらのPlaque Control Record 以下PCR) の最低値の平均は10.8%と口腔清掃状態改善度は良好で, さらに歯周基本治療による歯周炎の良好な改善状況も示された。
一方, 質問調査表中の自覚症状項目に回答の少ない患者群は, 多い患者群と比較しPCRが低下しにくい傾向を認め, 本項目から得られる情報はその後の治療に活かすべき重要なものであることが示唆された。また質問調査表中の喫煙習慣や過去の歯周治療経験の項目への回答の有無は, 初診時の歯周炎進行度を表す調査項目の一部に差を認めたものの, その後の治療経過, 口腔清掃状態改善度そして治療効果には影響しないことが示された。
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