日本歯周病学会会誌
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ラット下顎骨初期発生過程における骨芽細胞の分化と非コラーゲン性タンパクの遺伝子発現について
石垣 竜高城 稔伊藤 公一
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2002 年 44 巻 1 号 p. 55-63

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抄録

アルカリフォスファターゼ (ALP) 活性を指標とした酵素組織化学とin situ hybridization法を用いて, 胎生13.0~15.0日齢 (E13.0~15.0) のラット下顎骨の発生過程における骨芽細胞の分化およびこれにともなう非コラーゲン性タンパク (NCP) すなわちosteonectin (ON), bone sialoprotein (BSP), osteocalcin (OC), decorin, biglycan, osteopontin (OPN) の遺伝子発現を検討した。E13.5に軟骨原基とALP陽性の骨芽細胞前駆細胞が神経線維の近傍に出現した。軟骨原基は, 分化の進行とともに免疫組織化学的にグリコサミノグリカンの発現を増加し, メッケル軟骨の形態を明確にした。一方, 骨芽細胞前駆細胞は, 骨芽細胞への分化に伴ってその数とALP活性を次第に増加した。E15.0になって, 骨基質周囲に密接するALP陽性の骨芽細胞は上記のNCP遺伝子を初めて発現したが, 細胞集団全体にわたって発現しているのは, ONとBSPで, OC, decorin, biglycan, OPNと順に発現する細胞の数が減少していた。特に, OPNは極めて少数の細胞に限局して発現していた。以上のことから, ラツト下顎骨初期発生過程において, ALP陽性の骨芽細胞前駆細胞は, 時問および位置的にメッケル軟骨原基と神経線維に密接して出現し, E15になると骨芽細胞分化の様々なステージにある特異な細胞集団に達していることが明らかとなった。

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