パーソナリティ研究
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医療事故防止におけるヒューマンファクターによるインシデントと個人特性の関係分析
天野 寛酒井 俊彰酒井 順哉
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2007 年 16 巻 1 号 p. 92-99

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抄録

近年,医療事故防止の研究において,組織の改善だけでなく医療スタッフ個々人の特性に応じた安全対策のサポート体制の研究も必要になってきた。本研究の目的は,インシデントレポートと心理検査を組み合わせることによって,インシデントと関連する個人特性を探ることにある。方法は,エゴグラムとPOMSを用い,それがインシデントにどのように関係しているのか,2施設の看護師計790名を対象に,インシデントレポートからH群(高リスク群)とL群(低リスク群)を抽出して2つの心理検査との関係を分析した。結果は,エゴグラムのACおよびPOMSのT–A,D,A–H,CについてH群の値がL群よりも高く,それぞれ有意な差が認められた。このように,緊張感や不安感が高く,過剰適応の傾向のある者は,自己表現を円滑におこなうことが医療事故の予防に効果のあることが示唆された。

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© 2007 日本パーソナリティ心理学会
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