2025 年 34 巻 2 号 p. 138-147
本研究の目的は,学業的・社会的目標構造と学業的援助要請の相互影響過程について,交差遅延パネルモデルを用いて検討することであった。1, 2学期に各1回調査を行い,2度とも回答した中学生903名が分析対象であった。結果として,向社会的目標構造が適応的援助要請に正,援助要請の回避に負の影響を及ぼすことが示された。規範遵守目標構造から学業的援助要請に対する直接的な影響は見られなかった。目標構造間の相互影響関係について,熟達目標構造が社会的目標構造の2側面に正,遂行目標構造が規範遵守目標構造に負,向社会的目標構造が遂行目標構造に負の影響を及ぼしていた。これらのことから,生徒の学業的援助要請の促進を考えるうえで,学級の社会的側面の影響を考慮することの重要性が示唆された。