論文ID: 26.3.9
教師の資質能力はいつの時代も課題となっているが,教師の資質能力向上に関する定量的な研究は十分に行われているとはいえない。そこで本研究では,教師の資質能力向上に関連する要因を検討するため,教科指導学習動機に焦点を当て,動機づけと授業力の自己認知および学習時間との関連を検討した。因果関係について言及するため,新任教師を対象に6月と12月の2時点において調査を行い(n=128),交差遅延モデルによる分析を行った。その結果,子ども志向は授業力の自己認知と平日の学習時間に,熟達志向は授業力の自己認知と休日の学習時間に,それぞれ正の影響を与えていた。また,内発的動機づけは休日の学習時間に正の影響を与えていた。さらに,授業力の自己認知は,熟達志向に負の影響を無関心に正の影響を与え,休日の学習時間は義務感に負の影響を与えていた。以上より,学ぶことに価値を感じることや子どものためを思い学ぶことの重要性が示された。