1998 年 46 巻 5 号 p. 295-298
ガリレオには,一連の力学実験がある。(1)落下の思考実験(2)ピサの斜塔実験(3)斜面の実験(4)クサビ形斜面上の放物運動実験(5)V字谷斜面の実験(6)船上の落下実験。ガリレオはこれらの実験を通して,スコラ的自然学を打破し,新たな力学体系の樹立を図った。落下法則の発見から加速度運動の存在を確信し,慣性概念やガリレオの相対性原理を提唱してニュートン力学の基礎をきずいた。本稿では,その研究過程を考察する。そこには,観察と実験,思考実験と実実験,定性実験と定量実験理論と実験数理科学と実験科学などの関係がみえる。