流体に比べて密度が小さな物体でも,流体が入った容器の底に密着させて放置すると,外力で引き離さないと 浮上しない場合がある。着底である。この場合浮力はどうなっているのか,これが着底と浮力の関係性の問題で ある。本稿では,総和が浮力になるはずの,流体が物体の全表面に及ぼす力のうち,着底により働かなくなった 力の逆ベクトルを着壁力と考えれば着底が理解でき,さらに,底から物体下面に作用する垂直抗力に着目すれば, 着底物体にも形を変えて浮力が働いているとみなせることを指摘する。関連する話題についても考察する。