2024 年 20 巻 p. 113-130
本稿は,OECD加盟国の政府データに主成分分析を適用することにより租税構造と歳入構造の特徴を明らかにし,国際比較を通じてそれらの国々をいくつかのグループに類型化しようという試みである。新たな貢献は以下のようにまとめられる。第1に,2000年以降のデータを追加するとともに,1990年代半ば以降に新規加盟した国々を分析対象に加えた。第2に,税収項目として先行研究と同じ個人所得税・法人所得税・社会保障負担・財産税・間接税だけでなく,総税収・給与税を加えて検証した。第3に,潜在的国民負担の視点から,歳入項目としての財政赤字を追加して分析を行った。財政赤字を含む分析から,日本,アメリカ,アイルランド,スペイン,コスタリカが財政赤字のわなに落ち込みつつあることを発見した。分析対象を租税だけに限るのではなく財政赤字を含む歳入構造の分析が必要である。