財政研究
Online ISSN : 2436-3421
研究論文
ふるさと納税制度と地方自治体の費用効率性に関する実証分析
小川 顕正近藤 春生
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 20 巻 p. 131-149

詳細
抄録

 本稿は,ふるさと納税制度が地方財政に与える影響について,地方自治体の公共サービス供給における費用効率性に着目して定量分析を行ったものである。ふるさと納税は住民にとって他地域が負担する財源であり,住民はふるさと納税の分だけ公共サービスの供給コストを過小評価するかもしれない。これによって住民のコスト意識が希薄になれば,非効率な公共サービス供給が許容される可能性がある。本稿では,パネルデータを用いた確率的フロンティア分析によって,ふるさと納税に高く依存する自治体ほど費用効率性が損なわれていること,地方交付税の交付団体においては,ふるさと納税制度による住民税控除額や返礼品費用を考慮しても費用効率性が損なわれていることを明らかにした。なお,地方自治体の費用効率性を測定した先行研究は多く存在するものの,ふるさと納税が与える影響に着目した研究はあまり存在しておらず,本稿はふるさと納税制度の多面的な評価に貢献するものである。

著者関連情報
© 2024 日本財政学会
前の記事 次の記事
feedback
Top