静脈学
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総説
各科手術に伴う静脈合併病変に対する手術治療
杉本 貴樹
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ジャーナル オープンアクセス

2006 年 17 巻 5 号 p. 265-269

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抄録

過去5年間に当院で経験した,他科手術に伴う静脈合併病変に対する手術は9例で,年齢41~76(平均62)歳,男8例,女1例であった.膵腫瘍の門脈浸潤4例に対しては,1例が単純遮断,3例がアンスロン®バイパスチューブによるシャント(上腸間膜静脈―大腿静脈)下に腫瘍切除とともに門脈・上腸間膜静脈合併切除・再建(端々吻合3例,浅大腿静脈による置換1例)を行った.このうち1例ではePTFEによる浅大腿静脈置換部が術後早期血栓閉塞したため,対側大伏在静脈にて再建した.腎癌の下大静脈浸潤3例に対しては,腫瘍切除とともに下大静脈内腫瘍栓の摘出を行った.後腹膜線維症による尿管・腸骨静脈閉塞例に対しては腫瘍生検,尿管剥離に加え,著明な静脈圧上昇による下肢腫脹に対し外腸骨静脈―下大静脈バイパス(14mm ringed ePTFE)を行った.子宮筋腫圧迫による腸骨大腿静脈血栓症に対しては一時留置型下大静脈フィルター挿入下に筋腫摘出術を行った.しかし,術後フィルターの90゜捻転と多量の血栓捕獲が確認されたため,手術的にフィルターの摘出を行った.結果は腎癌症例と膵体部癌の1例を原疾患の転移で術後4カ月~1年4カ月で失ったが,他の5例(膵頭部癌2例を含む)は術後6カ月~5年を経過した現在,外来通院中であり,良性疾患の3例では良好なQOLが得られている.

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