静脈学
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症例
ウロキナーゼによるカテーテル誘導血栓溶解療法が奏功した鎖骨下・腋窩静脈血栓症の2例
内田 智夫
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2006 年 17 巻 5 号 p. 275-280

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抄録

ウロキナーゼの局所持続注入が奏効した鎖骨下・腋窩静脈血栓症を経験したので報告する.【症例1】43歳女性.マッサージを受けた翌日より右上肢の腫脹が出現し,発症後3日目に受診.右肘窩よりカテーテルを挿入して造影したところ鎖骨下静脈の閉塞を認めた.カテーテルの先端と側孔が血栓に当たるように留置し,ウロキナーゼ24万単位とヘパリン1万単位を24時間で持続注人した.3日後の造影検査では一部血栓が溶解し上肢の腫脹も軽減した.【症例2】16歳男性.左投げ野球投手.左上肢の腫脹が出現し,発症後2日目に受診.左肘窩より造影検査を施行し,鎖骨下静脈血栓症と診断.症例1と同様の局所持続注入を施行した.5日目の造影で血栓は一部溶解しており腫脹も軽減した.父親に左下肢深部静脈血栓症の既往があり,AT Ⅲ活性が本人と父親ともに低く,type ⅡのAT Ⅲ欠乏症と診断した.2例とも現在ワーファリンを服用中である.上肢静脈血栓症はまれだが,急な上肢の腫脹が出現した場合はそれを疑い,早急に診断治療を行うことが重要である.

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