静脈学
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症例
下肢うっ滞性潰瘍と穿通枝のMDCTによる評価
多田 誠一
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ジャーナル オープンアクセス

2010 年 21 巻 4 号 p. 339-344

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抄録

うっ滞性潰瘍を伴う重度の静脈瘤症例(CEAP分類6度症例)に対し,エコー検査で評価不十分な場合multidetector-row CT(MDCT)にて評価した.足背の静脈から8倍希釈した造影剤をインジェクターで注入.64列MDCTにて撮影し,volume rendering(VR)法にて処理した.表皮潰瘍部の描出から,皮膚脂肪層を消去した表在静脈と穿通枝さらに深部静脈まで3D表示しその位置関係を連続再生することで評価可能であった.通常静脈瘤の形態のみを評価する場合は造影剤なしのVR法によるCT評価でも可能であるが,皮膚変化を来した重症例や体格的にエコーでの評価が困難な場合でもこの方法にて深部静脈および伏在静脈の走行,穿通枝の存在を少量の造影剤で明瞭に確認できた.さらに従来下肢静脈造影では不十分であった潰瘍底と静脈瘤,穿通枝との関係を明瞭に描出し得ることで,必要な場合には穿通枝処理も容易に可能となり術前マッピングとしての有用性は高く潰瘍治療の有効な診断法と思われた.

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