静脈学
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症例
鼠径部の難治性リンパ漏に対し大網充填併用腹膜開窓術が有効であった2例
渋谷 卓江戸川 誠司佐藤 尚司
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2012 年 23 巻 1 号 p. 51-55

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抄録

鼠径部手術後の難治性リンパ漏に対し,大網充填併用腹膜開窓術による腹腔へのドレナージが有効であった2例を経験した.症例1は87歳,男性.閉塞性動脈硬化症に対する人工血管バイパス後3年目に左鼠径部にリンパのう胞が発症した.数回の穿刺吸引・圧迫治療や癒着療法を行うも再発したため,リンパ液の腹腔への誘導と人工血管の感染防止を目的に,大網を有茎に作成し誘導,治癒し得た.症例2は77歳,男性.鼠径部リンパ節の生検後にリンパ漏が発症,数回の再閉創術や持続陰圧吸引を行うも再発したため,有茎大網を右鼠径部に誘導した.術後速やかにリンパ液の漏出は消失,術後4年の経過は良好である.大網充填併用腹膜開窓術は難治性リンパ漏に対する,侵襲的ではあるが有効な治療法の一つである.

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