静脈学
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原著
下肢静脈瘤治療における伝達麻酔の工夫
白石 恭史
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ジャーナル オープンアクセス

2012 年 23 巻 4 号 p. 375-379

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抄録

●要  約:われわれは大伏在型下肢静脈瘤の手術を大腿神経ブロックで行ってきたが,その93%に大腿四頭筋麻痺を生じていた.それを改善するために,使用する1%キシロカインを6~10 mlから2 mlに減量し,同10 mlを用いた伏在神経ブロックを併用する方法を用いた.2010年11月1日より2011年6月6日までに上記の方法を用いて手術した81例99肢を対象として術直後の大腿四頭筋麻痺の程度を検討した結果,術直後に歩行が可能だったのは86肢(86.9%),歩行は困難だが立位が可能であったのは9肢(9.1%),立位が不可能だったものは4肢(4.0%)であった.感染や出血,伏在神経障害などの合併症はなかった.伏在神経ブロックを併用することにより,大腿四頭筋麻痺の出現頻度が激減して安全性が向上したとともに下腿の広範囲な処置も可能となった.この手技は日帰り手術における有用な麻酔方法のひとつと考える.

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