静脈学
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症例報告
特発性上腕動静脈瘻の1 例
大澤 晋正木 久男藤原 寛康柚木 靖弘佐野 俊二
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キーワード: 上腕動脈, 動静脈瘻, 特発性
ジャーナル オープンアクセス

2014 年 25 巻 3 号 p. 346-349

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抄録

要約:症例は62 歳女性で,以前より寒冷曝露により左手指の冷感が強いことを自覚していたが経過観察していた.この度,左上腕内側に拍動性腫瘤,および左前腕の倦怠感,冷感の増強があり,近医受診後当院紹介となった.同部への外傷など特記することはなかった.左上腕内側にthrill を伴う拍動性腫瘤25×20 mm を認め,同部超音波検査で上腕動静脈瘻の診断を得た.血管造影検査を施行したところ,上腕動脈末梢側に径10 mm 大の動静脈瘻を1 箇所認めた.以上のことから,上腕動静脈瘻の診断にて手術を行った.瘻孔部周囲の動静脈は瘤化しており,癒着が強固であったが上腕動脈を露出し瘻孔部を切離,大伏在静脈にて自家移植を行った.上腕静脈は直接閉鎖した.術後,前腕の冷感は消失し,静脈うっ滞所見もなく経過している.特発性上腕動静脈瘻は珍しく,前腕冷感,血流障害の原因になることも念頭に置くべきと思われた.

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