静脈学
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原著
下肢静脈瘤治療における非造影3DCT 静脈撮影の有用性─特に術後再発に関する形態学的危険因子の検討─
鈴木 修
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ジャーナル オープンアクセス

2016 年 27 巻 3 号 p. 267-273

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抄録

下肢静脈瘤の診療に際して非造影3DCT 静脈撮影を併用した場合の有用性について検討した.とくに術後再発の原因になりやすい①大伏在静脈大腿静脈接合部(saphenofemoral junction: SFJ)分枝,②血管新生,③重複大伏在静脈(duplicated great saphenous vein: D-GSV)の3 項目に関して症例を提示し報告する.対象はデュプレックス超音波検査に加えて非造影3DCT 静脈撮影を併用した59 症例(64 肢)とした.結果:① SFJ 分枝形態を3 タイプに分類した.SFJ 分枝再発の高リスク群としてタイプ2.高位分岐型(49.2%)とタイプ3.共通幹形成型(22.0%)が挙げられた.再発リスクの高い分枝は主に副伏在静脈(accessory saphenous vein: ASV)であった.②血管新生については,浅腹壁静脈(superficial epigastric vein: SEV),浅腸骨回旋静脈(superficial circumflex iliac vein: SCIV)および大伏在静脈(great saphenous vein: GSV)の切離断端から発生していることを確認した.③ D-GSV は,検討症例中30.5%に認めたが,D-GSV 術後に大腿部穿通枝が不全交通枝(incompetent perforating vein: IPV)となり術後再発源となった症例を提示する.症例を選択し非造影3DCT 静脈撮影を併用することは,術後再発防止や再発症例の治療戦略を立てるうえで有用と考えられた.

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