静脈学
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症例報告
ヘパリン加療中に発症した広汎型肺塞栓症に対し,フォンダパリヌクス,エドキサバンに切り替え,早期に血栓消失が得られた若年深部静脈血栓症の1 例
新美 清章
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2016 年 27 巻 3 号 p. 291-297

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抄録

症例は41 歳,女性.左下肢腫脹を主訴に受診.エコー上,浅大腿静脈から下腿静脈に血栓を認め,深部静脈血栓症と診断.造影CT 上,巨大子宮筋腫認めるも,腸骨領域に血栓を認めなかった.ヘパリン,ウロキナーゼ投与開始後4 日目朝トイレ歩行時に意識消失し,転倒.血圧87/50 mmHg,SpO2 89%,造影CT にて両肺動脈主幹部に血栓を認め,広汎型肺塞栓症と診断.フォンダパリヌクス(FPX)7.5 mg/ 日に切り替え,ワーファリン併用開始した.FPX 9 日間投与後,INR 1.59 と延長し,CT 上肺動脈内血栓消褪傾向認め,14 日目に退院となった.しかし,5 日目のINR は至適治療域(1.6~2.6)に達せず,早期の血栓消褪をはかるため,エドキサバン経口内服に切り替えた.2 週間後のCT では肺動脈血栓消失を認めた.本症例のような肺塞栓リスクが高く,出血リスク少ない若年者の深部静脈血栓症では,新規抗凝固薬がシンプルで使いやすく,早期の治療効果も期待され,第一選択として使用することも検討すべきと思われた.

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