2016 年 27 巻 3 号 p. 413-419
リンパ浮腫疾患における線維硬化した皮下組織の改善は難渋するケースが多く,圧迫療法における労力と時間的負担の軽減が課題の1つである.今回,重症リンパ浮腫の改善を目的に当施設が開発を行った簡易圧迫用品Wave Garment(WG)を数種の包帯と組み合わせ,通常の多層包帯法と比較し,圧迫圧および,圧迫療法にかかる負担度を調べた.結果,当施設リンパ浮腫療法士が圧迫を行った場合,いずれの方法においても通常の多層包帯と同様に十分な圧迫圧が得られた.所要時間においては,WGを使用することによって圧迫療法にかかる時間が23~65%軽減し,患者の労力と時間的負担が大きく改善した.WGの凹凸は平面スポンジに比べ,凸部で常に高圧となり,凹部と凸部の圧力差は30 mmHg以上となることから,上から加圧する力が低くても効果的に圧力を皮膚に伝え,硬く変化した皮下組織にアプローチしていることが示唆された.