静脈学
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原著
左腕頭静脈圧迫に関するCT画像による解剖学的検討
三岡 裕貴石橋 宏之杉本 郁夫山田 哲也折本 有貴丸山 優貴今枝 佑輔細川 慶二郎内藤 宗和中野 隆
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2018 年 29 巻 3 号 p. 323-327

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抄録

左腕頭静脈(left brachiocephalic vein: LBV)は中心静脈狭窄好発部位の1つで,胸骨と大動脈弓の圧迫が狭窄の原因の1つと考えられている.LBVはiliac vein compression症候群で知られる左総腸骨静脈と類似した周囲構造物を有しているが解剖学的検討は少ない.そこで,まず胸部造影CTを施行した30例(平均年齢63.9歳)で検討を行った.しかし年代別の症例数でばらつきが多いため,さらに31例を対象として腕頭動脈と前方の骨の距離を測定し,年齢による変化を検討した.LBVは腕頭動脈や左総頸動脈と接することが多く,LBVと腕頭動脈の距離,LBV短径および断面積は,65歳未満と比べ65歳以上で有意に小さかった(p<0.05~0.01).さらに腕頭動脈と前方の骨の距離と年齢とは有意に負の相関を認めた(p<0.03).LBVを挟む前方の胸骨と後方の動脈の距離は,加齢性に短縮し狭窄部位になる可能性が示唆された.LBVは透析患者の狭窄部位の1つでシャント効率の低下を認め,その原因の1つに加齢性変化が関与する可能性が示唆された.

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