静脈学
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原著
VTEに対するDOACsによる治療の現況(エドキサバン vs. リバーロキサバン)
金本 亮廣松 伸一桜井 日直子今井 伸一吉田 尚平奈田 慎一大塚 裕之田中 啓之
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2018 年 29 巻 3 号 p. 349-355

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抄録

【はじめに】静脈血栓塞栓症(VTE)の治療として,エドキサバンとリバーロキサバンの当院における使用経験を報告する.【対象と方法】2014年11月~2016年9月までにVTEに対しエドキサバンとリバーロキサバンで治療した患者を後向きに検討した.【結果】患者背景において,エドキサバン群は外傷や術後安静等の一過性リスクに多く使用され,リバーロキサバン群は悪性腫瘍群に多く使用されていた.有効性の評価として,血栓塞栓症イベントはエドキサバン群(5.6%) vs. リバーロキサバン群(0%)であったが,統計学的に有意差はなかった(P=0.362).安全性の評価としての出血性合併症は,エドキサバン群(14.1%) vs. リバーロキサバン群(9.5%)で,両群に有意差(P=0.719)はなかった.経過観察中(平均観察期間148日)の死亡はエドキサバン群(8.0%) vs. リバーロキサバン群(4.6%)と有意差(P=0.271)はなく,死因は全て癌死であり,VTE関連の死亡は両群ともなかった.【結語】患者背景の相違はあるが,本検討でエドキサバンとリバーロキサバンのVTE治療成績は,安全性,有効性ともほぼ同等であった.

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