静脈学
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症例報告
大腿骨転子部骨折術後に発生した巨大仮性動脈瘤を伴う大腿深動静脈瘻の1例
光岡 明人笹栗 志朗井上 芳徳
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2018 年 29 巻 3 号 p. 405-408

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抄録

大腿骨転子部骨折術後に大腿深動脈仮性動脈瘤が発生し,さらに動静脈瘻が合併した症例報告は非常にまれである.【症例】80歳男性【現病歴】右大腿骨転子部骨折の診断で大腿骨頭固定術が施行された.術後鼠径部疼痛が持続したが,術後疼痛として経過観察された.2カ月後,右鼠径部の拍動性腫瘤が指摘され,次第に増大してきたため当院転院搬送された.下肢超音波,CTにて大腿深動脈に61×82 mm大の仮性動脈瘤が指摘された.【手術方法】左総大腿動脈を逆行性穿刺し,対側アプローチにて穿孔部大腿深動脈をバルーン遮断にて血流遮断後,仮性動脈瘤壁を切開した.しかし仮性動脈瘤の内部からの逆流にて止血困難であり,動脈瘤内より出血部位を同定すると大腿静脈と仮性動脈瘤が交通していた.【まとめ】大腿骨転子部骨折術後に仮性動脈瘤に動静脈瘻が合併する可能性を十分念頭に入れる必要がある.

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