静脈学
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症例報告
傍大動脈リンパ節廓清中に損傷し大量出血を来たしたRetroaortic Left Renal Vein(左後大動脈腎静脈)の1例
内田 智夫
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2019 年 30 巻 3 号 p. 253-257

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抄録

retroaortic left renal veinは比較的まれな左腎静脈の走行異常である.時にNutcracker症候群と同様の機序による血尿の報告がある.また腹部大動脈瘤手術の際や腎臓移植のためドナーとして採取する場合にその処置に留意するよう注意喚起されている.当院の婦人科で卵巣腫瘍のため傍大動脈リンパ節廓清中に損傷し大量出血を来たしたretroaortic left renal veinの1例を経験したので報告する.症例は61歳女性.卵巣癌の根治目的に傍大動脈リンパ節廓清術中に静脈性の湧き上がる出血を認めた.用手的に圧迫したが出血点が確認できず,大量出血を来たし収拾がつかず血管外科へ対応を要請された.左腎動脈を露出テーピングして血流を遮断することによりようやく視野が確保された.左腎静脈が広範囲に損傷しており修復は困難と判断し縫合を行うことにより止血しえた.幸い術後約2年経過し腎機能は保持され再発の兆候もない.傍大動脈リンパ節廓清の際は術前に腎静脈の走行異常を確認することが重要である.

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