静脈学
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症例報告
骨盤内機能不全静脈に対するプラグ塞栓術が奏功した骨盤内うっ滞症候群の7例
滝澤 恒基大澤 宏明石 興彦保坂 茂
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ジャーナル オープンアクセス

2022 年 33 巻 3 号 p. 261-266

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抄録

骨盤内機能不全静脈に対するプラグ塞栓術が奏功した骨盤内うっ滞症候群(PCS)の7例を報告する.全例下肢静脈瘤患者に併存したPCSで,平均年齢は64.1歳.全例経産婦で閉経後であり,骨盤うっ滞症状が長時間の立位で悪化した.全例,造影CTの動脈相で径8 mm以上に拡張した左卵巣静脈とそれに連なる骨盤内静脈瘤が描出され,左卵巣静脈の機能不全がPCSの主因であった.また7例中4例に,立位での選択的静脈造影で右卵巣静脈や内腸骨静脈にも機能不全を認めた.手術は径カテーテル的に血管径の平均1.22倍のサイズのプラグを,1症例あたり平均3.3個留置し機能不全静脈を閉塞した.合併症は術中静脈損傷1例のみでプラグ留置後直ちに止血された.プラグの移動や逸脱はなかった.全例術後1週間以内に骨盤うっ滞症状が改善し,術後3年以上の経過で骨盤内静脈瘤や症状の再発は認めていない.プラグ塞栓術はPCSの有効な治療法と考える.

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