日本写真学会誌
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一般論文
電極/液晶性有機半導体界面の電子構造V:電極の仕事関数の変化の分析
谷 忠昭飯野 裕明内田 孝幸半那 純一
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2013 年 76 巻 4 号 p. 318-323

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抄録

電極と液晶性有機半導体の界面の電子構造に関する一連の研究の一環として,電極の表面分析をXPSで行い,仕事関数を種々の条件下で大気中光電子分光とケルビン・プローブ法で測定し,結果を分析した.大気中では,CrおよびAlは表面に酸化被膜が形成されていたが,Pt,AuおよびITOでは酸化被膜の形成は認められなかった.Pt電極について調べたところ,真空中で調製し大気に移した直後(~1分後)は本来の仕事関数(5.65 eV)に近い値を示したが,調製しGlove boxに移した直後(~3分後)では4.4 eVとなり,これを大気中に移すと約10分の間に5.1 eVにまで増加した.Pt電極の仕事関数は,電極表面への汚染炭素化合物被膜の形成がもたらすPush-back効果などにより4.4 eVとなり,大気成分の吸着で5.1 eVへと増加することが分った.

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© 2013 社団法人 日本写真学会
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