日本写真学会誌
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特集:フレキシブル・プリンテッドエレクトロニクスと画像形成技術との接点
プリンテッドエレクトロニクス電極用銀ナノ微粒子の開発と産業化への取り組み
栗原 正人
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2013 年 76 巻 5 号 p. 355-361

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抄録

プリンテッドエレクトロニクスに適合する電極材料として,低温焼成銀ナノ微粒子及びその分散インク/ペーストが実用化に最も可能性のある材料として注目されている.フレキシブルエレクトロニクス素子に用いられるPETなどのフレキシブル・透明樹脂基板は熱耐性が弱く,こうした幅広い汎用性樹脂基板に銀ナノ微粒子を適合させるには,その焼成温度の低温化がキーテクノロジーになる.本研究では,銀ナノ微粒子の自発融着能を発揮させる表面構造に着目,アルキルアミンを保護分子として選択することで,室温~100°Cの焼成温度の実現に成功した.この自発融着能により,クラックやボイドの発生を抑制した導電性・光反射率・フレキシブル性に優れる塗布型電極の作製が容易になった.シュウ酸銀熱分解法の発明により,高性能・高純度銀ナノ微粒子を溶媒レス・低環境負荷・安価・大量合成(~100%収率)することができた.国内企業20社が集結した「ナノメタルスクール」により,この銀ナノ微粒子技術に基づく,プリンテッドエレクトロニクス産業応用が加速している.

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© 2013 社団法人 日本写真学会
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