日本写真学会誌
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特集:光励起制御を目指した金属ナノ構造の構築
銀ナノ粒子を用いた薄膜の導電性ならびに光透過/反射/吸収の変化とデバイスへの応用
内田 孝幸
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2013 年 76 巻 6 号 p. 473-480

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抄録

蒸着や,電着によって10 nm程度の銀の薄膜を作製し,これらを透明導電膜等で挟み込んだ場合,透明性,導電性,表示色に関して特徴ある特性を示す.本稿では〈1〉Ag薄膜を酸化物透明導電膜(TCFs)で挟んだ,サンドイッチ型の積層膜の作製と評価,さらにこれらを用いて有機EL(OLEDs)の電極への適用の事例とその応用について紹介する.〈2〉また,Agイオンを含む透明エレクトロクロミック素子へバイアス電圧を印加し,透明導電膜にAgを電着した場合,鏡や黒,さらには赤~青色といった多彩な表示色を示す.これは,透明電極のモルフォロジー(平坦/凹凸等の差異)や,バイアス電圧印加の工夫(一定電圧やダブルパスル印加など)によって,ある程度,銀の粒子(核発生,粒子成長)の成長を制御でき,その結果,Agの粒子の凝集状態が異なることによって,多彩な表示色が得られることを示す.〈3〉さらに,これら〈1〉と〈2〉の特徴を活かした新奇な素子として,「透明有機EL素子」と「透明エレクトロクロミック素子」を組み合わせた,6状態を有するスマートウィンドウの紹介を行う.

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© 2013 社団法人 日本写真学会
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