2014 年 77 巻 1 号 p. 15-23
新潟県中越地震により被害を受けた山内写真館の写真資料群が十日町市に寄託された.これらの写真資料を後世に伝え,活用できるようにするために,十日町市と市民ボランティアが協働して整理し,記録化する活動を始めた.具体的には,写真を公開しながら,個々の写真に関する市民の記憶や体験を収集し,撮影された内容を解読して記録化し,写真データベースを作成する作業である.これらの情報に客観的な検証を加えていくならば,歴史的・文化的価値が高まり,学術的な利用にも応えられるようになるだろう.私たちはこの取り組みを,十日町市における「地域映像アーカイブ構築の始点」と位置付けるとともに,市民の心の拠り所となるアーカイブとして育んでいくことを目指している.