2014 年 77 巻 2 号 p. 58-64
高精細TFTを実現する印刷技術として反転オフセット印刷法が再度注目を集めている.反転オフセット印刷法はパターン形成,転写のプロセスがインクの流動性の無い半乾燥状態で行われることから,他の印刷法では実現できない微細線と高品質な画線の形成が可能である.TFTの各機能層用の機能性インクには,適用する印刷法に合致した印刷特性とTFTとして要求される電気特性を合わせ持つことが要求される.反転オフセット印刷に特化した導電,絶縁,半導体インク等のTFTの各機能層用の機能性インクの開発が進められており,液晶(ポリマーネットワーク液晶)ディスプレイのバックプレーンとして機能することが原理検証されている.高精細印刷TFTの工業化実現のための印刷プロセスの課題は,微細線の形成と正確なパターン積層及びこれらを簡便に実現できるシンプルなプロセスの実現である.これら技術課題の解決を目指した最新のプロセス開発の取り組みとして反転オフセット印刷法によるウェットオンウェット印刷技術開発が進められている.ウェットオンウェット印刷はTFTの各機能層をあらかじめ積層形成した後に,これら機能インクのTFT機能層への改質(熱処理)を一括して行う印刷プロセス技術であり,TFT機能層ごとのインク改質工程(加熱工程)による基板フィルム変形による積層アライメントずれの問題を解決するとともに,プロセス工数の大幅な低減を可能とする.