基礎物理学分野で,原子核感材は空間分解能が高く,かつ3次元的な検出器としてユニークな存在である.そして,イギ リスのノーベル賞学者Powellが導入した原子核乳剤は,産業構造の変化により基礎研究者が中心となって自ら開発する新しい局面を迎えている.本論文では,微粒子乳剤の従来知見を整理し,目的の飛跡に対して高い識別能をもつ乳剤設計に関する議論を行う.最初に,電離放射線の感光機構を提示し,次に最新の超高解像力乳剤を紹介する.そして原子核乳剤で重要因子となる再結合防止と高照度相反則不軌および飛跡弁別の技術に関して考察する.