2014 年 77 巻 4 号 p. 318-326
従来,ハロゲン化銀粒子のイオン伝導度測定に,誘電損失法及びMaxwell-Wagner理論が用いられてきた.本報告では誘電損失法を2重構造粒子に拡張するため,Ir3+ イオンドープによりイオン伝導度の異なる核部と殻部を有する2種類の臭化銀立方体粒子を作製し,その誘電損失応答を測定した.結果の解析に,マイクロカプセルや細胞等の系に用いられてきたPauly-Schwan/Hanai理論を適用した.実験結果と計算結果は良い一致を示し,空間電荷層と化学ポテンシャルに関する考察から,核部と殻部との界面に急峻な内部電界が形成されうることを推定した.