日本写真学会誌
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一般論文
銀塩写真感光材料に記録された放射線飛跡の蛍光標識化法による検出(2):ヨウ化銀に吸着した色素混合系での蛍光発光の増強
久下 謙一水口 剛太朗伊瀬谷 夏輝宮川 信一
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2015 年 78 巻 3 号 p. 169-173

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抄録

銀塩写真感光材料を用いた放射線飛跡の蛍光標識化法による検出において,蛍光発光色素のオキサシアニン色素(NK863, 3,3’-diethyl-2,2’-oxacyanine iodide, IUPAC:3-ethyl-2-[(3-ethyl-2(3H)-benzoxazolylidenem)ethyl]benzoxazolium iodide)の製造バッチが異なると,飛跡を作るヨウ化銀粒子上で光らないという現象が生じた.この原因の解明の過程で,この色素と構造が類似したオキサカルボシアニン色素(NK85, 3,3’-diethyl-2,2’-oxacarbocyanine iodide, IUPAC:3-ethyl-2[-3-ethyl-2(3H)-benzoxazolylidene-]1-propenylb]enzoxazolium iodide)を調べたところ,両者とも単独では媒染剤となるヨウ化銀上でほとんど発光しないが,両者を混合すると強い緑色発光を示すことを見出した.この発光はヨウ化銀上で特異的に起こり,NK863色素にNK85色素が微量混入しても起こった.ヨウ化銀上で両色素が特異的な作用を持ち,前者の色素の吸収した光により後者が発光すると考えられた.

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© 2015 社団法人 日本写真学会
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