日本写真学会誌
Online ISSN : 1884-5932
Print ISSN : 0369-5662
特集:光機能性を活かす構造制御技術
準安定状態を利用した刺激応答性有機発光材料の設計
矢貝 史樹
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2016 年 79 巻 4 号 p. 323-326

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抄録

機械的な刺激に応答して発光特性が変化する有機化合物は,センサーやイメージングデバイスへの応用を期待させる新し い機能性有機材料である.この現象は “発光性メカノクロミズム” と呼ばれ,これまでに多くの発光性有機化合物がこの現象を示すことが報告されているが,合理的な分子設計の指針を明確に打ち出した研究は少ない.最近筆者らは,分子集合体の概念を利用した,発光性メカノクロミズム材料の設計指針を提唱した.コンセプトの背景にあるのは,指向性の高い分子間相互作用の拮抗である.分子間相互作用として双極子- 双極子相互作用と両親媒性相互作用を用い,分子集合によってこれらが拮抗する様にπ電子系発光分子をデザインし,合成した.実際にこの発光分子は両親媒性によって駆動される集合状態をとり,黄色発光を示した.この集合状態は双極子反発を内包するため,薄膜を押すと相転移を起こして流動性のある液晶状態となり,橙色発光を示した.驚くことに形成された液晶相を強く擦ることで結晶相へさらに相転移し,発光は青緑色へと変化した.液晶相から結晶相への転移はリチウム塩の添加によって制御できることも見出し,これを利用してセキュリティーイメージングのデモを行った.

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© 2016 社団法人 日本写真学会
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