動画記録への挑戦は,1860年のHerschelの夢物語の提案から始まったと言える.そして,その提案から50年後の1910年頃には,セルロイドフィルムを支持体とした映画用ロールフィルムは,Eastman Kodak社の経営を支える事業にまで成長した.安全に扱える酢酸セルロースの不燃性フィルムを用いた小型映画は,8 mmフィルムが1930年代から家庭用として,16 mmフィルムが1950年代から放送取材用として,世の中に浸透して行った.動画記録の電子化は,1970年代に撮像管カメラとビデオテープレコーダーをケーブルで繋いだENGと呼ばれるテレビのニュース取材から始まった.そして1980年代に,カメラとレコーダーを一体化した家庭用カムコーダーが登場し,CCD固体撮像素子が採用され,小型・軽量化が達成された.最後尾となった映画のオールデジタル化は,配給・上映のビジネスモデルを確立させるのに手間取った.しかし,2005年のデジタル化標準DCIを機に加速され,Herschel提案から150年後の2010年代前半に移行がほぼ完了した.