順天堂医学
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特集 脱毛性疾患の病態と治療
毛組織の組織化学
伊藤 雅章
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1992 年 37 巻 4 号 p. 523-534

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抄録

ヒト毛組織の形態学について述べ, さらに毛組織の生物学的解析に有用な組織化学法について概説した. S期細胞を染めるBrdU染色で成長期毛組織を検討すると, 毛乳頭を囲む毛母の数層と毛球上部の外毛根鞘が盛んな細胞分裂を示すことが分かる. DACM染色によるSS結合の分布は, 表皮角層では膜パターンを示すが角化毛皮質では瀰漫性である, これは毛ケラチンにSS結合が多いことと, 毛皮質細胞が周辺帯を形成しないことに関連する. 抗involucrin抗体染色とmonodansylcadaverineによるtransglutaminase染色で, 角化帯の毛皮質に陽性所見をみるが, その意義は不明である. 抗デスモゾーム抗体HK-1染色では, 毛組織のいずれの上皮層も陽性だが, 各層に特異なパターンをみる. 各種の抗ケラチン単クローン抗体による染色で毛組織各層が特異なケラチン発現を示すことが理解されるが, 中でも外毛根鞘は脂腺開口部を境にケラチン発現が大きく異なる. 各種のlectin染色でも細胞分化の相異が観察される. 毛周期における硝子膜や結合織毛根鞘の変化の検索には, 基底膜や結合織基質の各物質の免疫組織化学法が有用である.

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© 1992 順天堂医学会
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