順天堂医学
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原著
種々な長距離走トレーニングに対する血液・生化学検査値からみた個人負荷量の推定
-筋組織傷害および脂質過酸化反応について-
高岡 郁夫
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1992 年 37 巻 4 号 p. 613-625

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抄録

長距離走者が日常行っているトレーニングが, 血管内溶血・筋肉組織傷害および脂質過酸化反応に及ぼす影響およびその相互関連を検討するために, 8人の陸上競技長距離走者が被験者として本研究に参加した. 用いられたトレーニングは (1) 15kmのロードでの持続走 (2) 6分間のジョッグをはさんで5,000mを3回走るインターバル走, および (3) 起伏のあるゴルフ場を14km走るクロスカントリー走であった. トレーニングの持続時間はすべて約60分間とした. 早朝安静時のコントロール, 各トレーニング終了数分後および翌朝に採血した. 血清HPG濃度はコントロール値に比べ, 持続走およびインターバル走でそれぞれ有意に減少した. 血清MDA濃度はすべてのトレーニング後有意に増加した. CKおよびCK-MB活性は持続走を除くトレーニング後, 有意に増加した. MDA・CK・CK-MBは各自の相対的なトレーニング強度と有意に相関した. さらに個人の相対的なトレーニング強度と有意に相関した. さらに個人の変化について, MDAとCKとは互いに有意に相関した. CK活性が運動後遅れてピーク値を示すことなどを考慮すれば, トレーニングに対する個人別の負荷の客観的指標としてのMDA濃度の有用性が示唆された.

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© 1992 順天堂医学会
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