順天堂医学
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第18回都民公開講座《皮膚の健康―皮膚をいかに若々しく保つか―》
赤ちゃんのようなシワがない肌を保つことはできるのか?
--シワの発生とその治療--
長谷川 敏男
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2006 年 52 巻 3 号 p. 443-450

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抄録

シワをその深さによって表皮性のいわゆる小ジワ, 真皮性のシワ, たるみに分類すると, 表皮性のシワは保湿で対処すべきものであり, たるみは余剰皮膚を切除するしかない一方で, 真皮性のシワに対する治療方法は近年急速に発達しており美容皮膚科的には主たる治療対象となる. 真皮性のシワは, 主に光老化によって真皮のコラーゲン線維, 弾性線維が変性することによって生じる. このため真皮性シワの発生はサンスクリーン剤の使用, 光老化を修飾する酸化ストレスを抑えることである程度予防しうる. また, 一度生じてしまった真皮性シワに対する治療法として, (1) 薬剤や機器など何らかの手段によって皮膚を刺激する方法. これはablativeな治療とnon-ablativeな治療に大別され, 最近は侵襲の少ないnon-ablativeな治療機器が注目されている. しかし, 未だに確実な治療効果を得られる機器は存在しないのが現状である. (2) 各種の注入療法. これはわが国では本格的に実用化されるには至っていない. (3) 抗シワ剤としてレチノイド, 様々な抗酸化作用を持つ物質などがあり, 今後の新規物質の開発が待たれる.

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© 2006 順天堂医学会
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