2009 年 55 巻 3 号 p. 236-239
インフルエンザは, もっともポピュラーな流行性ウイルス性呼吸器疾患です. この特効薬としてはオセルタミビルやザナミビルなどの抗インフルエンザ薬, およびアマンタジンなどが知られています. しかしながら, 最近の新型インフルエンザに関連した脅威から, これら薬剤についての耐性株の出現の可能性が危惧されるようになりました. 実際にわが国の2008年-2009年シーズンの季節性インフルエンザA型では, オセルタミビル耐性株が流行しました. 本稿ではインフルエンザの構造と感染機序を紹介し, これらの薬剤がどの段階で作用し, どのように耐性化するのかについてそのメカニズムを解説します.