順天堂医学
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総説
原発災害と放射線被曝
直居 豊
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2011 年 57 巻 6 号 p. 602-609

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抄録

2011年3月11日に起きた東日本大震災は福島原発の2次災害を引き起こし, 結果として放射線について日本人すべてがあらためて考えさせられる事態となった. この放射線災害は近隣の住民のみならず, 被曝した食材などが日本全国に流通されたことから全国的な問題となっている. 結果として多くの国民が放射線に怯えることとなったが, その最大の理由は正確な情報や知識が流布されないまま放射線という目にみえない威力と恐怖が全国的に拡大したためである. われわれ放射線科医は常に放射線と接して仕事をしてきており放射線のよさ, こわさも理解しているつもりであるし, 常に放射線被曝を減らす努力も忘れないように教育されてきた. しかしわれわれ職業人以外はほとんど放射線について教育される機会も興味も少なかったと思われる. 通常職業人として放射線を扱う者には年1回の放射線安全教育が厚生労働省から義務づけられており, 順天堂でも必ず年1回安全教育が行われてきた. しかし必ずしも出席者は多いとはいえず, あまり身近なこととは理解されていなかったように思う. 今の時期こそ医療従事者として放射線について今一度考えるよい機会と思われる. 本稿では医療従事者として知っておくべき放射線の知識と福島の原発災害関連での実被害, 風評被害の一部について解説する. またより広い視野で放射線について考えてもらうために自然放射線や職業被曝, 医療被曝についても概説する.

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© 2011 順天堂医学会
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