本論文では,機械読解データセットSQuAD1.1およびBERTによる機械読解モデルを対象として,質問応答事例を難易度別に「回答容易」・「回答困難」の二つのクラスに分類する手順を示し,このクラス分類法の有用性について論じる.具体的には,本論文では,機械読解タスクに対してfine-tuning済みのBERT機械読解モデルに対して,コンテキストのみを与え,質問を与えない場合においても回答を正答できる事例を「回答容易」クラスとするアプローチを提案する.この方法をSQuAD1.1訓練事例約85,000事例に対する10分割交差検定において適用することにより,「回答容易」クラス約12,500事例と「回答困難」クラス約75,000事例に分割した.さらに,「回答容易」クラス約12,500事例を訓練事例として訓練したBERT機械読解モデルの性能が,同数の「回答困難」クラス事例を訓練事例として訓練したBERT機械読解モデルの性能を下回ることを示す.