主催: 一般社団法人 人工知能学会
会議名: 2021年度人工知能学会全国大会(第35回)
回次: 35
開催地: オンライン
開催日: 2021/06/08 - 2021/06/11
本研究の目的は,非負テンソルをランク1テンソルで高速に近似することである.ランク1近似については多くの研究があるが,近似後のランク1のテンソルがフロベニウスノルムの意味で入力テンソルを最もよく近似することが保証される近似アルゴリズムは提案されていない.我々は,正テンソルを確率分布として捉えると,ランク1のテンソルが独立分布の積として表現できることを発見し,入力正テンソルに対応する確率分布から,独立な確率分布の積からなる部分空間への射影を考えることで,入力テンソルから出力テンソルへのKL情報量を最小化する正テンソルのランク1近似を凸問題として定式化した.更に,この射影の前後で,テンソルに対応する確率分布の一部のパラメータが変化しないことに注目し,最良ランク1テンソルの解析的な表示を得た.この公式を用いることで,既存手法よりも高速なランク1近似の実現が可能になった.また,独立分布の積からなる空間への射影は,平均場近似として広く考察されており,本発表でもテンソルのランク1近似と平均場近似のアナロジーを指摘する.