1996 年 13 巻 3 号 p. 297-310
3種の有用な熱帯林森林樹木 (Cedrela odorata L., Guazuma crinita Mart., と Jacaranda mimosaefolia D. Don.) の培養苗の茎頂や根端を用いての凍結保存を行った. 冷却方法は, (1) 簡易冷却, (2) 急速冷却, (3) 緩速予備冷却, (4) 乾燥後冷却を試験した. 低温でのハードニングや前培養処理も試みた. 茎頂を緩速予備冷却したのち, 液体窒素に浸漬した場合が最も植物片の生存率が高かった. Cedrela では, 生存率と植物体再生率は50%, 20%であり, Guazuma では50%と15%であった. 低温のハードニングや前培養処理はこれらの樹種では効果がなかったが, これはこれらが熱帯樹種で低温や乾燥に耐性がなかったからだと思われる. 組織培養した頂端を凍結保存することは, C. odorata, G. crinita と J. mimosaefolia の遺伝資源を保存する一つの方法として考えられる.