近年のプロジェクトマネジメントにおいては,価値創造が重要視されている.だが,価値を定義する要求開発・要求定義やデザイン思考を行うプロジェクトは,探索的であり,プロジェクトメンバー間の価値観の相違を起因として価値定義が困難になりやすい.チームビルディングの観点ではタックマンのチーム形成モデルが有名であるが,探索的プロジェクトではリニアにチームが成長することは稀であり,行きつ戻りつの試行錯誤となる.本稿では,北海道長万部町と東京理科大学が協力して実施した「コ・デザイン・プロジェクト」を例にとり,探索型プロジェクトのファジーフロントエンドにおけるチームビルディングのプロセスと,コミュニケーションの留意点について述べる.