抄録
現在日本では、中央政府と地方自治体双方のレジリエンスからなる、国全体のレジリエンス(ナショナル・レジリエンス)の確保が急務となっている。現在のレジリエンス確保においては巨大地震が主なリスクとして想定され、政府では対策が進められつつある。しかし、地方自治体においては財政難や人材不足により防災対策が円滑に進んでいるとは言い難い状況にある。本研究では、南海トラフ地震によって最大34 mの津波が襲来すると予測される一方で、先進的な防災対策が展開されている数少ない地方自治体である高知県黒潮町を取り上げ、関係資料や行政・住民等へのヒアリングに基づき、防災の取り組みの一連の流れを物語描写し、さらにその解釈に基づき、黒潮町における防災対策が適切に機能した要因、ならびに、今後のナショナル・レジリエンス確保に向けた地方自治体の役割及び中央政府との連携のあり方に関する知見を得ることを目的とする。