小児リウマチ
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ヒトパルボウイルスB19感染を契機に 発症した川崎病の1 例
関谷 里佳江波戸 孝輔金子 雅紀伊藤 尚志坂東 由紀石倉 健司
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2020 年 11 巻 1 号 p. 79-84

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抄録

 ヒトパルボウイルスB19(HPVB19)感染を契機に発症した川崎病の2か月乳児例を経験した.第2 病日に呼吸不全,代償性ショックを呈し,人工呼吸管理や輸血,抗菌薬の投与を開始した.第6病 日に川崎病主要症状5/6項目と冠動脈病変が出現したため免疫グロブリン大量療法(IVIG)を合計2 回行った.以後川崎病症状は消失し第16病日に退院し,3か月後に冠動脈病変の改善を確認した. 一方,四肢の紅斑,貧血や補体価の低下等の所見からHPVB19感染症の可能性も考え検査をしたと ころ,HPVB19-IgMの陽転化及び,血漿検体よりHPVB19-DNAが検出された.以上から川崎病の 発症にHPVB19の関与があったと推測された.また重篤な症状を呈した理由を解明すべくサイトカ インプロファイルを調べたところ,典型的な川崎病と比較して高サイトカイン血症であり, HPVB19感染症による高サイトカイン血症が本症例の病態であると考えた.川崎病の原因に HPVB19感染症も念頭において診療を行うことが望ましい.

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© 2020 一般社団法人 日本小児リウマチ学会
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