小児リウマチ
Online ISSN : 2434-608X
Print ISSN : 2435-1105
トシリズマブ投与中にインフルエンザワクチン接種により再燃を繰り返した全身型若年性特発性関節炎の1女児例
上野 和之清水 正樹谷内江 昭宏
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 4 巻 1 号 p. 13-15

詳細
抄録

全身型若年性特発性関節炎(s-JIA)症例では、インフルエンザ(flu)に感染すると重症化しやすいた め,ワクチン接種が推奨され,多くの場合,安全に接種できると報告されている.今回われわれはト シリツマブ(TCZ)投与中にfluワクチン接種により再燃を繰り返したs-JIAの一例を経験した.症例 は3歳女児,s-JIAと診断されステロイド治療を開始されたが,ステロイド依存性の経過であり, TCZ が追加され,病勢は安定していた.fluワクチン接種を行ったところ,初回,2回目とも接種1週間後 に関節炎の再発を認めた.再発時にはCRPは陰性であったが,血清IL-6およびIL-18の著明な上昇を 認めた.s-JIAの一部の症例ではfluワクチン接種により再燃する可能性があり,注意深い経過観察が 必要である.TCZ投与中は症状がマスクされ, CRPも陽転化しないため, IL-6, IL-18によるモニタリ ングが有用である.

著者関連情報
© 2011 一般社団法人 日本小児リウマチ学会
前の記事 次の記事
feedback
Top