小児リウマチ
Online ISSN : 2434-608X
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Degos病が疑われた分類不能型腸炎の1女児例
石毛 崇龍城 真衣子友政 剛滝沢 琢己羽鳥 麗子西田 豊荒川 浩一
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2011 年 4 巻 1 号 p. 41-45

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抄録

【背景】Degos病は,皮膚に特有な円形萎縮局面を認める疾患で,国内小児報告例は2例のみである. 今回,炎症性腸疾患の経過観察中に同疾患類似の皮疹の出現を認めた小児例を経験した. 【症例】12歳時より反復する腹痛・下痢・血便にて当院紹介の女児.下部消化管内視鏡にて全大腸に びまん性炎症所見を認め,潰瘍性大腸炎と診断した.5-ASA製剤にて症状改善したが,2週間後に下痢・ 上腹部痛・嘔吐が出現した.CTにて著明な小腸壁肥厚,上部消化管内視鏡にて胃・十二指腸のびら んを認めた.非典型的な病理所見から分類不能型腸炎(infiammatory bowel disease type unclassfied: IBDU)と診断し栄養療法・ステロイドを開始したところ,四肢に多発する萎縮疲痕を認めた.病理 所見では明らかでないものの消化管および皮膚病変よりDegos病疑診と診断した.ステロイド減量に 伴い皮疹の悪化,腹痛・関節腫脹が出現し,アザチオプリン追加によりこれら症状は改善した.本例 ではPR3-ANCA陽性であることから血管炎がIBDUおよびDegos病様皮疹発症に関与したものと思 われた. 【結語】小児においても炎症性腸疾患の経過中に皮膚の萎縮疲痕を認める場合には本疾患を念頭にい れた精査および治療が重要である.

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© 2011 一般社団法人 日本小児リウマチ学会
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