小児リウマチ
Online ISSN : 2434-608X
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経過中に嚥下・構音障害を併発し免疫グロブリン大量静注療法が有効であったステロイド抵抗性若年性皮膚筋炎の1例
松岡 諒齋藤 義弘生駒 直寛和田 靖之
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2016 年 7 巻 1 号 p. 32-36

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抄録

若年性皮膚筋炎(JDM)は,成人例と比べてステロイドに対する反応性と予後が良好な疾患である. しかし,中には治療抵抗性の症例がありさまざまな追加治療が行われている.また,嚥下障害・構音 障害などを合併し,誤嚥性肺炎や呼吸機能の低下により生命を脅かす症例もみられる.  症例は13歳男児.JDMと診断し,ステロイド剤と免疫抑制剤による治療を開始した.順調に経過 していたが,突然筋力低下の再燃を認め,嚥下障害・構音障害を併発した.さらなる免疫抑制療法 の強化も検討したが,ステロイド抵抗性のJDMに有効で安全性の高い免疫グロブリン大量静注療法 (IVIG)を選択した.1クール施行後に速やかな症状の改善を認めた.さらにその後2年寛解を維持し, ステロイドの漸減もできている.  本症例のようにステロイド剤と免疫抑制剤の治療中に嚥下障害・構音障害を呈し,重症化が予想さ れるステロイド抵抗性JDMに対しては, IVIGは効果の発現が速やかであり,有効な治療法の一つと 考えられた.

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© 2016 一般社団法人 日本小児リウマチ学会
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