小児リウマチ
Online ISSN : 2434-608X
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発症早期にマクロファージ活性化症候群を呈した 若年性皮膚筋炎の1例
杉田 侑子岡本 奈美謝花 幸祐村田 卓士黒川 晃夫鴨井 良明港 敏則清水 正樹谷内江 昭宏玉井 浩
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2016 年 7 巻 1 号 p. 37-42

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抄録
若年性皮膚筋炎(JDM)で発症早期にマクロファージ活性化症候群(MAS)に至った報告は少ない. 今回,MAS 発症を契機にJDM の診断に至った8歳男児例を経験したので報告する.発熱,頬部の水 疱と口内・口唇の多発性潰瘍で発症し,第33 病日に血球減少はないもののferritin 2366ng/mL まで上 昇した.一旦解熱するも第50 病日頃から弛張熱,頬部の皮疹,大腿部痛が出現,白血球減少を認め た.明らかな筋力低下はないが,両側大腿後面の遠位部に軽度の圧痛あり.大腿部のガドリニウム造 影MRI で圧痛部位に一致して筋膜の炎症所見を認め,皮膚組織もJDM に矛盾しない所見であった. JDM に高サイトカイン血症に伴うMAS を合併したと考え,ステロイドパルス療法やメトトレキサー ト内服加療等を導入し,再燃なく経過している. 若年性特発性関節炎以外の小児リウマチ性疾患においてもMAS を合併することがある.本症例で は皮膚・筋所見に乏しく,皮膚組織所見と造影MRI が診断に有用であった.
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© 2016 一般社団法人 日本小児リウマチ学会
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