抄録
若年性皮膚筋炎(JDM)で発症早期にマクロファージ活性化症候群(MAS)に至った報告は少ない.
今回,MAS 発症を契機にJDM の診断に至った8歳男児例を経験したので報告する.発熱,頬部の水
疱と口内・口唇の多発性潰瘍で発症し,第33 病日に血球減少はないもののferritin 2366ng/mL まで上
昇した.一旦解熱するも第50 病日頃から弛張熱,頬部の皮疹,大腿部痛が出現,白血球減少を認め
た.明らかな筋力低下はないが,両側大腿後面の遠位部に軽度の圧痛あり.大腿部のガドリニウム造
影MRI で圧痛部位に一致して筋膜の炎症所見を認め,皮膚組織もJDM に矛盾しない所見であった.
JDM に高サイトカイン血症に伴うMAS を合併したと考え,ステロイドパルス療法やメトトレキサー
ト内服加療等を導入し,再燃なく経過している.
若年性特発性関節炎以外の小児リウマチ性疾患においてもMAS を合併することがある.本症例で
は皮膚・筋所見に乏しく,皮膚組織所見と造影MRI が診断に有用であった.