小児リウマチ
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手指関節の疼痛,腫脹で発症した線状強皮症の1 例
清水 正樹濱口 儒人谷内江 昭宏
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2018 年 9 巻 1 号 p. 76-80

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抄録

手指関節の疼痛,腫脹で発症し,病初期に典型的な皮膚所見は認めず診断に苦慮した線状強皮 症の1 例を経験した.症例は8 歳女児.右第3 中手指節間関節の腫脹,疼痛と左第2 近位指節間 関節の腫脹,疼痛を認め,発症4 か月後に当科へ紹介となった.血液検査では異常なく,核磁気 共鳴画像法(magnetic resonance imaging:MRI)検査では,右第3 中手指節間関節周囲および同 部から体幹方向へ連続する屈筋腱周囲の炎症所見,第3 中手骨の骨髄浮腫の所見,さらに第2 近 位指節間関節周囲の炎症所見を認めた.徐々に皮膚硬化が明らかになり,屈曲拘縮も認め,線状 強皮症と診断した.シクロスポリンの内服を開始し, 1 年後のMRI検査で異常所見はいずれも改 善した.病初期に典型的な皮膚所見は認められず診断に苦慮したが,MRI検査では体幹方向へ連 続する腱周囲の炎症所見を認めており,本症の診断にはMRI検査が有用であると思われた.深部 病変による関節拘縮は永続的な機能障害をきたすため,早期診断とともに,シクロスポリンを含 めた全身治療が望まれる.

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© 2018 一般社団法人 日本小児リウマチ学会
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