霊長類研究 Supplement
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
セッションID: MS-9
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ミニシンポジウム
オープンソースGIS (FOSS4G)の現状と応用 ~ざっくりFOSS4G~
*古川 泰人*中西 希
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抄録

 近年の科学技術分野では,位置情報を客観的に表現し,解析することは,重要な技術となった.
 哺乳類・霊長類学研究においても,テレメトリーデータや,生息確認情報をもとに,植生や地形といった環境情報と関連付けた統計的な解析を行い,地図として表現することが必須となりつつある.
 しかし,これらの処理を可能にするGIS(地理情報システム)ソフトは,高価かつ導入に手間がかかるため,多くの研究者が気軽に利用できる状況ではなかった.
 そこで,Quantum GIS(QGIS)などのFOSS4G(Free Open Source Software for Geospatial)と呼ばれるオープンソース GISソフトが近年注目されている. FOSS4Gは無料で入手・再配布が可能なため,導入時のハードルが低い.また,データ作成,GPSとの連携,空間解析処理などといった有償 GISソフトと同等の機能を持っている.
 オープンソースの統計ソフト ”R”と同様に,近年様々な学術分野,研究機関,地方公共団体,民間組織,NPO・NGOなどで FOSS4Gの利用が拡大しており, 有用なツールに成長している.
 本集会は,「FOSS4G に興味がある」「FOSS4G を導入したい」と考えている参加者を対象に,FOSS4G に関する基礎知識や最新の活用事例などを紹介し,導入支援を行う事を目的とする.

演題1 イントロダクション・FOSS4Gて何? 古川泰人(北海道大・院・農 /(株)地域環境計画 /OSGeo 財団日本支部)
 FOSS4Gに関する歴史的背景・基礎知識・機能・最新動向についての概要説明を行う.
演題2 獣被害対策へFOSS4Gの導入 小野晋(株式会社 地域環境計画)
 全国の農村で見られる獣害に対する農業被害対策では情報を地図化し,共有することが有効である.アンケートや現地調査によって集めた情報を FOSS4Gでまとめ,行政担当者へ提供した事例について報告する.
演題3 QGISで野生動物の追跡結果を解析してみよう 中西希(琉球大・院・理工)
 野生動物の追跡調査は多大な時間と費用,労力を必要とするが,そこから得られる情報量は莫大である.QGISと Rを用いてテレメトリー調査の結果を解析した手法について,報告する.
演題4 野生生物データ収集・整理・解析をFOSS4Gで 三島啓雄(北海道大・サステイナビリティ学教育研究センター)
 様々な研究機関や行政担当部署における野生生物データの収集・整理・解析の現場で,QGISをはじめとするFOSS4Gがどのように利用されているかの実践例を紹介する.

 デモストレーション 入門者向けのQGIS を用いて,オープンデータ,GPS データの利用といった,研究にすぐ応用できるデモンストレーションを行う.

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© 2013 日本霊長類学会
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